アメリカのドナルド・トランプ政権による医薬品関税導入は限定的になる見通しで、韓国企業のアメリカ向け医薬品に対する関税賦課の可能性は低いとされている。
サムスン証券のソ・グンヒ首席研究員は、最近の報告書で「アメリカの医薬品関税政策が国内企業に与える影響は限られる」と分析している。
ソ首席研究員によると、トランプ政権は「アジェンダ47」に基づき、必須医薬品の国内生産を促進する方針を示している。具体的には、海外生産の必須医薬品に関税を課すか輸入制限を設け、米国内での生産を進めることを目指している。米国の必須医薬品リストは行政命令13944のセクション3(c)に基づき、FDA(米食品医薬品局)が227種類の原薬(API)、化学医薬品、バイオ製剤を選定している。このリストには糖尿病やがん、自己免疫疾患治療薬などの慢性疾患薬は含まれておらず、急性疾患患者向けのワクチン原薬や抗生物質、抗ウイルス薬などが対象となっている。 このため、韓国企業にとってアメリカ向け医薬品への関税の影響は限定的であるとの見方が強まっている。
トランプ次期大統領は、イブプロフェンやヒドロコルチゾンなどの必須医薬品の米国での生産を促進する政策を展開する見通しだ。関税導入の目的が「公衆衛生上の緊急時における必須医薬品の安定供給」にあることを踏まえると、韓国企業への影響は限定的であると分析されている。韓国企業が主に生産しているのは必須医薬品ではなく、長期的な慢性疾患治療薬が中心だからだ。
続けてソ研究員は、「関税対象となるAPIや医薬品の種類が確定し、トランプ次期大統領の医薬品国内生産重視政策が具体化すれば、不確実性は解消されるだろう」としつつも、「ただし、広範なAPIや医薬品の米国内生産が増加すれば、生産コストが上昇し、その結果として薬価が上昇し、医療財政への負担が増す可能性がある。そのため、今後の政策の方向性には引き続き注視が必要だ」と指摘している。
米国の対中バイオ規制「生物安全保障法」の年内成立は不透明だが、与野党を問わず支持を受けており、成立の可能性は高いとの見方が示されている。この法案が成立すれば、中国のゲノム企業や受託開発製造機関(CDMO)との取引が米国内で事実上制限されることになる。主に中国による米製薬・バイオ産業への介入を完全に違法化し、生産への介入を阻止することが狙いだ。法案成立により、韓国、日本、インドなどの企業が恩恵を受けると予想されており、トランプ政権は大統領選で同法成立を約束しているため、上院での審議日程が決まれば不確実性は解消されると分析されている。
一方、トランプ次期大統領は25日(現地時間)、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、中国に対する関税率を10ポイント引き上げると予告した。また、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づく無関税措置を覆し、メキシコとカナダに対しても25%の関税を適用する方針を示した。
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