「独占禁止法違反」判決により主力事業が強制売却される可能性に直面し株価が下落していたグーグルの親会社アルファベットが、量子コンピュータの進展により12月に入って回復基調を見せている。
18日(現地時間)ブルームバーグによると、アルファベットの株価は前日終値195ドル(約30,700円)を基準に、9月の最安値から30%以上上昇した。この上昇の大半は、チップ「ウィロー」を搭載した量子コンピュータの性能に関するニュースを受けて生じた。
量子コンピューティングの進展は、アルファベットがOpenAIなどのAI企業に後れを取るのではないかという懸念や、「独占禁止法違反」判決の影響で低迷していた同社に新たな活力を与えている。
オールスプリング・グローバル・インベストメンツのチーフ・ポートフォリオマネージャー、マイケル・スミス氏は「量子コンピュータに関するニュースは、アルファベットが依然として知的財産の宝庫であり、技術の最先端を行く企業であることを改めて示した」と述べた。
アルファベットは、量子コンピュータの性能テストに使用されたアルゴリズムが実用化された例はなく、近い将来に収益化される可能性も低いと明らかにしている。しかし、その潜在能力の大きさから、アルファベットの成果を受けて、クオンタム・コンピューティング、リゲッティ・コンピューティング、D-ウェーブ・クオンタム、IonQなど、類似技術を研究する他社の株価も急騰した。
米国政府や技術系企業、ベンチャーキャピタリストらは量子コンピュータに数十億ドル規模の投資を行ってきた。量子コンピュータは従来型コンピュータの数百万倍の処理能力を持つとされる。
アナリストらは、量子コンピュータの潜在的用途として、創薬、先端材料設計、次世代のセキュリティソリューションなど多岐にわたる分野を挙げている。
バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ジャスティン・ポスト氏は「商業化までにはまだ数年かかるが、量子技術の進歩はアルファベットに大きな技術的優位性をもたらす可能性がある」と指摘した。同氏は、アルファベットの「次世代技術の収益化に成功してきた実績」が過小評価されていると付け加えた。
アルファベットの株価収益率(PER)は約21倍で、ナスダック100指数の平均PER27倍を下回り、いわゆる「マグニフィセント・セブン」の中で最も低い。
現在、アルファベットの株価に最も大きな影響を与えているのは、グーグルが検索市場を違法に独占していたとする判決だ。
米司法省はウェブブラウザ「クローム」の強制売却を提案し、AIスタートアップのAnthropicとの提携解消も計画している。トランプ次期大統領の場合、前回の任期中と同様、巨大IT企業に対して厳しい姿勢を維持するとみられている。
一部の投資家は、現在の株価にすでにこうした規制リスクが織り込まれていると指摘する。
ガベリ・ファンドのポートフォリオマネージャー、ハンナ・ハワード氏は「力強い成長が期待されるため、『独占禁止法違反』判決による変動性を買いの好機と捉えている」と述べた。
ジェンソン・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネージャー、ケビン・ウォルクシュ氏もアルファベットに対して強気の見解を示した。
同氏は「アルファベットはAI分野でも強力な企業だが、量子コンピューティングがさらなる選択肢を提供している」と説明した。ただし、現時点では量子コンピューティングが企業価値評価を大きく左右するほどではないとも付け加えた。
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