
ドナルド・トランプ米大統領が中国に対する追加関税に続いて、鉄鋼・アルミニウム関税を課す方針を打ち出し、「関税戦争」の激化が懸念される中、11日(現地時間)のニューヨーク株式市場は大きな反応を示さず、まちまちの動きで取引を終えた。
この日、ダウ工業株30種平均は前日比123.24ポイント(0.28%)高の4万4,593.65ドルで取引を終えた。S&P500指数は前日比2.06ポイント(0.03%)高の6,068.50、ハイテク株中心のナスダック総合指数は前日比70.41ポイント(0.36%)安の1万9,643.86でそれぞれ取引を終えた。
未来アセット証券のソ・サンヨン証券アナリストは「米国株式市場は、トランプ氏の関税影響と米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の公聴会を控え、個別銘柄の動きが目立つ中で下落して始まった」と指摘し、「パウエル議長が経済への自信を示し、金融政策の慎重な姿勢に言及したことで、ダウは堅調を維持し、ナスダックは下落する動きとなった」と分析した。また、「後半には半導体セクターを中心に需給の偏りが見られ、ゼレンスキー大統領のインタビューなどがプラスに働いたものの、終盤に再び半導体株に売りが出た」と述べた。
トランプ氏は前日の夕方に予告した通り、米国に輸入されるすべての鉄鋼とアルミニウム製品に25%の関税を課すと正式に発表した。
また、各国が米国産製品に課す関税率と同等の税率を相手国製品に課すという「相互関税」の概念を導入する方針を改めて確認した。
予告されていた関税署名に対する市場の即時反応は限定的だったが、専門家らは「トランプ発の関税戦争」が本格化する可能性を懸念している。
USバンク・ウェルスマネジメントのテリー・サンドベン主席株式ストラテジストは「企業価値は過大評価されており、企業は今後の業績見通しに慎重な姿勢を示し、インフレは持続している」とし、「全体的に不確実性が高く、これは変動性の増加につながる」と述べた。
個別銘柄では、テスラが6.3%下落した。これは、CEOのイーロン・マスク氏がチャットGPT開発企業のオープンAIの買収を検討しているとの報道が影響したとみられる。
一方、インテルは6.1%急騰した。この日、J.D.バンス米副大統領がパリの人工知能(AI)行動サミットに出席し、「敵対国」がAIを利用して、米国の安全保障を脅かす試みに積極的に対応する方針を示したことを受け、恩恵を受ける銘柄として注目された。