
中国の電子商取引大手JD.com(京東商城)が、前年同期比13.4%の売上成長を記録し、11四半期ぶりに最も高い成長率を達成した。これは、中国政府の消費促進策が消費者の購買意欲を刺激し、年末の売上増加を牽引したためと分析されている。
8日のロイター通信によると、JD.comの昨年第4四半期の総売上高は3,469億9,000万元(約7兆2,675億8,410万3,500円)で、前年同期比13.4%増加した。これは、市場予想(3,323億5,000万元(約6兆9,609億5,442万7,500円))を大きく上回る数字だ。第4四半期の純利益は99億元(約2,073億5,203万5,000円)で、前年同期(34億元(約712億1,181万円))の約3倍に増加した。予想を上回る業績発表を受け、ニューヨーク証券取引所上場のJD.com株価は1日で8.3%上昇した。
JD.comの好調な業績の背景には、中国政府による消費促進策の影響が大きいとの見方が強い。中国当局は今年1月から「以旧換新(古い製品を新しいものに交換)政策」を通じて、家電製品の買い替え補助金を支給している。エム・サイエンスのアナリスト、ビンチ・ジャン氏は「JD.comが好調な業績を上げたのは事実だが、売上増加のかなりの部分が家電および電子製品の販売増によるもので、政府政策の大きな恩恵を受けた」と分析した。
この購入支援策は今後も拡大される見込みで、JD.comの好調な業績は続くと予想される。経済政策を統括する国家発展改革委員会の鄭栄範主任は6日、北京のプレスセンターで開かれた全国人民代表大会の経済分野記者会見で、今年の主要政策目標の一つとして「消費支出の促進」を挙げ、「さまざまな消費者層のニーズに応え、消費形態を多様化するため、最近、複数の部門が共同で『消費振興のための行動計画』を策定し、近く発表・実施される予定だ」と明らかにした。上海浦東発展銀行インターナショナルは「中国政府の家電買い替え支援策が、電子製品カテゴリーの成長を大きく後押しするだろう」と予測している。
また、JD.comは新規事業への進出を加速しており、これも上昇要因となっている。同社は先月、フードデリバリーサービス「JDテイクアウェイ」を立ち上げ、これまで美団(メイトゥアン)が独占していたフードデリバリー市場に参入した。ジャン氏は「JD.comが既存の強固な物流・倉庫インフラを活用できる点で、競争力を持つのに有利な事業分野だ」と評価した。