
テスラの欧州での販売が急落している。フランスでの1月の販売は63%減少し、ドイツでは59%減少した。欧州の主要電気自動車(EV)市場での急激な販売不振は、CEOのイーロン・マスク氏がこれらの国の政治に介入したことが大きな要因と分析されている。
5日(現地時間)、ブルームバーグとマーケットウォッチなどによると、欧州の主要EV市場でのテスラの1月販売は軒並み大幅に減少したことが明らかになった。
ドイツ連邦道路交通研究所は同日、テスラが1月に1,277台の新車を登録したと発表した。これは12月の3,900台から約60%減少しており、2021年7月以来最低の月間販売台数となった。ドイツは米国、中国に次ぐテスラの第3の市場である。
ブルームバーグは、マスクが極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のアリス・ワイデル氏を支持したことが販売減少につながった可能性を指摘した。
テスラは先月、ドイツに続いて欧州連合(EU)第2のEV市場であるフランスでも販売が63%急減した。フランスでの1月のテスラ登録台数は2022年8月以来の最低水準となった。
イギリスでは、1月に電気自動車全体の販売が42%急増したにもかかわらず、テスラだけが12%の販売減少を記録した。これは労働党のキア・スターマー党首とその政権に対するイギリス消費者の反発の表れと見られる。
これは欧州の3大EV市場すべてでテスラの販売が大幅に減少したことを示している。
ブルームバーグは、マスク氏が欧州全体で不人気なトランプ政権下で自身の立場を強化することに時間を費やしたことが、欧州での急激な販売不振の主な理由だと指摘した。
マスク氏は今月末に予定されているドイツ連邦議会選挙を前に、自身のSNSのXでワイデル氏とリアルタイム討論を行った。
1月末に開催された極右AfDの集会にオンラインで参加したマスク氏は、ドイツ国民に自国の文化を誇りに思うよう呼びかけ、ナチス政権下のユダヤ人虐殺を暗に示しながら「過去の罪悪感にとらわれすぎないように」と助言した。
アウシュビッツ強制収容所の解放80周年直前に発せられたこの発言は、戦後のアイデンティティの核心が過去の反省と清算にあるドイツに衝撃を与え、国民の怒りを引き起こした。
テスラの1月初めの販売不振には、一方で改良されたモデルYの生産ラインの変更も影響していると考えられる。昨年末に売上を伸ばすために販売を前倒ししたため、欧州の一部市場で在庫不足が生じている可能性もある。
しかし、すでに米国市場でもマスク氏の政治的言動が販売に影響を及ぼしている。米国最大のEV市場であるカリフォルニア州では、昨年第4四半期にテスラの車両登録が12%減少した。特にモデル3の新車登録は36%減少した。
カリフォルニア州では11月の米大統領選挙でトランプ大統領の対抗馬だったカマラ・ハリス氏を20ポイント以上上回る支持率で支持した。
テスラ株は同日、ニューヨーク証券取引所で2.4%下落し、382ドル(約5万8,121円)で取引を終えた。
