
電気自動車市場のキャズム(一時的な需要の停滞)により、3,000万ウォン台の手頃な電気自動車が主流となった。景気後退も重なり、今年発売予定または既に発売された電気自動車の大半が、コストパフォーマンスを重視した小型車だ。価格競争力を武器にする中国メーカーのシェア拡大を受け、世界首位の座をBYDに譲ったテスラも、既存モデルより安価な普及型の販売を決めた。
19日、韓国自動車モビリティ産業協会などによると、3,000万〜4,000万ウォン台の電気自動車の販売比率は2023年の12.5%から昨年は32.8%へと急増した。電気自動車のキャズムが長期化する中、需要が「コスパ重視」へと急速にシフトしたためだ。
この傾向は、キアのEV3やヒョンデ自動車のキャスパーエレクトリックなど小型電気SUVを通じて韓国の国内市場でも見受けられた。EV3は発売半年で1万2,851台を売り上げ、電気SUVのEV6(9,054台)を上回った。キャスパーエレクトリックも発売約3ヶ月で8,657台を販売する快挙を達成した。
実際、今年注目の電気自動車の多くが小型電気SUVだ。昨年EV3がヒットを記録したキアは、今年の普及型電気自動車EV4の発売を皮切りに、来年にはEV2までも投入する見込みだ。EV4はキアのブランド初の普及型電気セダン、またEV2は小型ハッチバックになると予想されている。これらのモデルはいずれも3,000万ウォン台のコストパフォーマンスに重点を置くとみられる。ただし、EV2は韓国国内というよりかは欧州市場を狙った「カスタマイズ型電気自動車」として、早ければ今年後半に発売される見通しだ。

フォルクスワーゲンは最近、2万ユーロ(約316万円)のエントリーレベルの電気自動車のティーザーを世界市場に公開し、注目を集めた。同社は2027年の量産を目指し、来月初めにコンセプトカーを公開する予定だ。このモデルはフォルクスワーゲンの小型電気自動車のラインナップとして登場する見込みだ。
世界最大の電気自動車メーカーであるテスラも低価格モデルを発売する。テスラは上半期中にモデル3よりも安価な「モデルQ」を公開予定だ。小型ハッチバック形式のモデルQは3万ドル(約455万円)程度の価格設定になると見込まれている。
自動車メーカーが相次いで小型電気SUVを投入するのは、中国の低価格な電気自動車の攻勢への対抗策でもある。最近、中国の低価格電気自動車は先駆者であるテスラをも上回り、世界市場シェア1位を記録した。エネルギー専門の市場調査会社SNEリサーチによると、昨年1〜11月の世界市場で登録された電気自動車のうち、BYDは販売台数367万3,000台でテスラ(158万3,000台)を大きく引き離し、首位に立った。
業界関係者は「以前はBYDのシェアを中国の国内市場に限定して見る傾向があったが、最近の傾向を見ると中国だけでなく海外においても価格競争力を武器にシェアを拡大している」と指摘し、「中国勢の攻勢に対抗するため、各メーカーが普及型電気自動車の発売に力を入れている」と語った。