
フェイスブックの親会社メタ・プラットフォームズの最高経営責任者(CEO)マーク・ザッカーバーグ氏が、メタに対する反トラスト(独占禁止)裁判に3日連続で出廷した。ザッカーバーグ氏は、「ティックトックの台頭によりメタが危機に直面し、事業戦略としてインスタグラムとワッツアップを買収した」と強調し、「違法な独占ではない」と主張した。今回の裁判でメタがSNS市場を違法に独占したとの判決が下れば、メタはインスタグラムとワッツアップの売却を余儀なくされる可能性がある。
ザッカーバーグ氏は16日(現地時間)、米ワシントンDCの連邦裁判所で行われたメタの独占禁止訴訟の3日目にも証人として出廷した。
今回の訴訟を提起した米連邦取引委員会(FTC)側の弁護士から、過去2日間にわたりインスタグラムとワッツアップの買収経緯などについて追及されたザッカーバーグ氏は、自身の弁護士の尋問に答え、メタがソーシャルメディア市場で激しい競争に直面している点とこれまでの取り組みを強調した。メタが競争を避けてインスタグラムとワッツアップを買収し、ソーシャルメディア(SNS)市場を違法に独占しようとしたとの主張に反論したのだ。
ザッカーバーグ氏は、中国の動画プラットフォームであるティックトックが2018年に登場した際、メタにとって「非常に緊急な競争上の脅威となった」と述べた。さらに「ティックトックの人気により、我々の成長が急速に鈍化した」とし、「これは非常に緊急な問題であり、数年間我々の最優先課題の一つだった」と説明した。
また、「現在、ソーシャルメディア市場においてティックトックはフェイスブックやインスタグラムよりも大きな影響力を持っている」とも述べた。ザッカーバーグ氏は、「メタがティックトック、ユーチューブ、アップルのiMessageなどと激しい競争に直面している」とし、「インスタグラムとワッツアップの買収は技術企業としての競争相手の排除ではなく、通常の事業戦略であった」と強調した。
彼は「インスタグラムが買収されていなければ、今のような成長は不可能だった」とし、「買収によりインスタグラムははるかに優れたサービスに発展できた」と主張した。さらに「小規模なオンラインプラットフォームを数億~数十億人のユーザーが使用するように成長させることは、大手企業の支援なしでは非常に困難だ」とし、ティックトックとユーチューブもそれぞれバイトダンスとグーグルという大企業の傘下にある点を例に挙げた。
また、「インスタグラムとフェイスブックに短編動画機能『リール』を追加したのも、主にティックトックの成長への対応策だった」と付け加えた。今回の裁判では、メタが米国で人気のSNSスナップチャットを2013年に60億ドル(約8,579億1,220万円)で買収提案したが、拒否された事実も明らかになった。ザッカーバーグ氏は「当時、買収が実現していれば、現在よりもはるかに成長していただろう」と述べた。
メタ・プラットフォームズの前COO(最高執行責任者)、シェリル・サンドバーグ氏も証人として出廷した。サンドバーグ氏は、2008年から2022年までメタに在籍し、COOとして重要な意思決定に関与していた。サンドバーグ氏はこの日、FTC側の弁護士がメタは違法に競争を抑制しようとしたとの主張に対し、一つ一つ反論し、ザッカーバーグ氏の発言を裏付けた。
ザッカーバーグ氏はこの日の証言を最後に、3日間で約10時間に及ぶ法廷出廷を終えた。サンドバーグ氏の証言は次回の裁判でも続く。この裁判は約2カ月間にわたって行われる。
前日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はザッカーバーグ氏が今回の裁判を前に先月末にFTCのアンドリュー・ファーガソン委員長に電話をかけ、独占禁止訴訟を解決するために4億5000万ドル(約643億2,524万円)を支払う提案をしたが、拒否されたと報じた。