
中国が関税報復措置としてカルバン・クラインやトミーヒルフィガーなどの親会社PVHコープをブラックリストに載せたことで、米消費財企業の不安が高まっている。数十年にわたり中国で築いてきた店舗や生産施設を一夜にして閉鎖しなければならないかもしれないという懸念だ。
CNBCは6日(現地時間)、「ドナルド・トランプ米大統領の貿易戦争の影響で、PVHコープが店舗や製造施設を閉鎖する可能性がある」と報じた。中国は4日、PVHコープをいわゆるブラックリストと呼ばれる「信頼できない」企業リストに掲載した。当局はブラックリスト企業に対し罰金を科したり、輸出入活動を禁止したりできる。また、就労許可を取り消したり、従業員の入国を拒否したりすることも可能で、企業の存続を左右する権限を握ることになる。
中国商務部は昨年9月、PVHコープがウイグル族の人権侵害問題がある新疆ウイグル自治区から綿花を調達しないと発表したことへの対抗措置として、同社をブラックリストに載せたと説明した。ただし、トランプ大統領の対中関税発表直後に措置が実施されたため、関税に対する報復だとの見方が大勢を占めている。
国際貿易の専門家で、スクワイヤ・パットン・ボッグス法律事務所のパートナー弁護士のマイケル・ケイ氏は、「中国が(関税報復の対象として)誰かを選び出したかったのだろう。そして、その対象が知名度の高い企業であることを望んでいたようだ」と分析した。
PVHコープは中国だけでなく、グローバル事業全体が揺らぐ危機に直面している。同社の生産施設の18%に当たる128の工場が中国にあるためだ。PVHコープがブラックリストに載ったことで、中国当局が自国内の生産施設や店舗の閉鎖、オンライン販売の禁止を指示する可能性があるとケイ氏は説明した。彼は「企業がブラックリストに載った後、数日以内に指示が下される」とし、「中国が譲歩したという印象を避けたいと考えているため、何の措置も取らない可能性は低い」と分析した。
CNBCは「中国が米国との関税交渉でPVHコープを交渉カードとして使用する可能性が高い」とし、ナイキ、アップル、ゼネラルモーターズ(GM)、スターバックスなど、中国に顧客基盤を持つ米企業に打撃を与える例として使われるだろうと予測した。