韓国の国軍情報司令部所属の軍務員が、軍情報部の諜報員の情報を中国に漏洩し、第一審で懲役20年の判決を受けた。
中央地域軍事裁判所は21日、情報部5級の軍務員A被告(45)に対する判決公判で、懲役20年と罰金12億ウォン(約1億2,948万円)を言い渡した。また、1億6,205万ウォン(約1,753万円)の不法収益の追徴も命じた。先月の結審公判で軍検察は、A被告に無期懲役と罰金8億ウォン(約8,632万円)、追徴金1億6,205万ウォンを求刑していた。
裁判所は「被告は情報部の工作チーム長として、軍事機密2級を含む多数の機密情報を漏洩し、その見返りとして複数回にわたり金銭を要求し受け取った点」が認められると判示した。さらに「漏洩された軍事機密には派遣された情報将校の個人情報等が含まれており、これが流出すれば情報将校の生命・身体の自由に明白な危険が生じただけでなく、情報将校らが情報収集に費やした時間と労力が無駄になるという損失も発生した」と強調した。
また「被告は家族への脅迫によりやむを得ず犯行に及んだと主張するが、これを裏付ける証拠はない」とし、「むしろ被告が積極的に金銭を要求していた形跡があり、容易に信じがたい」と指摘した。
A被告の裁判は軍事機密漏洩の懸念から非公開で進められ、判決宣告のみが公開された。
A被告は2017年頃、中国の情報要員と思われる人物に取り込まれ、2019年から複数回にわたり金銭を受け取って軍事機密を漏洩した容疑(軍刑法上の一般利敵罪等)で昨年8月に逮捕起訴された。
1990年代から下士官として情報部に勤務し、2000年代半ばに軍務員に転じたA被告は、犯行当時、情報部のチーム長級で勤務していた。軍検察によると、A被告は2017年4月、自身が構築した現地工作網との接触のため中国の延吉地域を訪れた際、空港で中国側に拘束され、取り調べを受ける中で工作員になるよう持ちかけられた。A被告は自分を拘束した者が中国の情報要員だと証言したが、その人物の身元と所属は確認されていない。
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