採用面接後に会社代表が合格の可能性をほのめかし、出勤日程について話をしただけでは、労働契約が成立したとは見なされないとする第一審判決が示された。
ソウル行政裁判所行政13部(パク・ジョンデ部長判事)は、化粧品製造業者A社が中央労働委員会を相手に起こした不当な採用取消に対する救済再審判定の取消訴訟で、会社側の主張を認めた。
A社は2022年10月に管理総括を担当する取締役の募集を行い、本件の被告補助参加人となるB氏は入社申込書を提出して面接を受けた。
その後、A社の代表取締役はB氏に電話をかけ、「一緒に働けそうなので連絡した」、「いつから(出勤が)可能か」「火曜日に出勤することで了解した」と述べ、採用が確定したかのように話をした。
しかし、A社はB氏ではなく他の候補者を採用することを決め、B氏に「当社で入社を保留せざるを得ない事情が生じた。明日の出勤は難しくなった」という内容のメッセージを送信した。
B氏はこの通知が入社最終確定通知の取り消しを意味するのか、それとも入社予定日の調整変更を意味するのかを問い合わせたところ、A社側は「内部で十分な協議が必要であり、他の就職先を探してもよい」という趣旨で返答した。
これを受けてB氏は仁川地方労働委員会に不当解雇救済申請を行ったが、委員会は昨年5月に「当事者間に労働関係が成立したとは認めがたい」として申請を却下した。
一方、中央労働委員会は昨年7月の再審で「この事件の会話を通じて参加人に対する採用内定が行われたため、労働関係が成立した」として救済申請を認容した。
中央労働委員会の決定に対しA社は行政訴訟を提起した。会社は裁判過程で「会話の際、代表取締役が参加人を採用する意思を明確にしたわけではない」とし、「労働契約の重要事項に関する意思の合致も存在しないため、この事件の会話だけを理由に原告と参加人の間に労働契約が締結されたとは認められない」と主張した。
裁判所も労働関係が成立していないと判断した。
第一審裁判部は、原告代表取締役がこの事件の会話で「二人に絞られた」、「一旦」、「ほぼ」といった曖昧な表現が含まれることから、B氏との労働契約を有力視している段階に過ぎないと判断した。
また、原告側の代表取締役が「出勤」という表現を使用したことも、A社の主張通り二次面接の意味合いが含まれる可能性があるとした。さらに裁判所は、「B氏も会話の過程で最終決定の時期について問い合わせているため、B氏自身も原告側の代表取締役の出勤日程の問い合わせだけで、最終的な採用が確定したと考えていないようだ」と説明した。
裁判所は「原告とB氏の間に労働契約の成立を認めるためには、B氏の賃金、業務内容、労働契約期間などの重要事項について具体的な合意が必要である」と指摘した。
「原告とB氏の間に確定的な労働関係の成立を認めることはできないため、この前提を異にするこの事件の再審判定は違法であり、取り消されるべきだ」と結論づけた。
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