23日(現地時間)、航空機メーカーのボーイングは2週間にわたってストライキを行っている労働組合員に対し、賃金30%引き上げの最終的な提案を行った。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)によれば、同日ボーイングは今後4年間で賃金を30%引き上げ、サイニングボーナス6000ドル(約86万5000円)を支給する案を組合に提案した。廃止予定だった成果に基づく賞与は復元され、確定拠出年金(401k)の退職年金積立金に対する会社の拠出分が増額される予定である。また、契約期間中に発売される新しい航空機は、組合員が勤務するワシントン州で製造される。
当初40%の賃金引き上げを要求している組合は、以前会社側が提案した賃金25%引き上げ及びサイニングボーナス3000ドル(約43万2000円)を拒否した。今回再提案を行った会社は、組合の回答期限を27日までと定めた。
ボーイングの機械工組合員3万3000人以上は、昨年12日、賛成率96%でストライキに突入した。2008年以降初のストライキである。これにより737マックス、777ワイドボディーなどボーイングのベストセラー民間航空機の生産が中断された。
アンダーソン・エコノミック・グループは、ストライキ初週にボーイングが5億7100万ドル(約823億円)の損失を被ったと推定した。その後、ボーイングは非組合の事務職員に対する無給休職などのコスト削減を実施した。ロイター通信は「すでに緊縮状態であった会社の財政が悪化し、信用格付けが格下げされる可能性がある」と展望した。
今回のストライキは、ケリー・オートバーグ新任最高経営責任者(CEO)の危機管理能力を測る機会と評されている。今年数回の航空機欠陥事故で経営危機に陥ったボーイングの取締役会は、昨年7月にデイビッド・カールフン前任CEOを解任し、協力会社コリンズ・エアロスペース(旧ロックウェル・コリンズ)の代表を務めたオートバーグCEOを就任させた。
今後もストライキが続く場合、米国の代表的な労働市場指標である月間非農業雇用指数にも影響を及ぼす可能性があるとの見方も出ている。オックスフォード・エコノミクスの研究員たちは、今回のストライキが10月まで続く場合、11月に発表される数値で非農業雇用指数の非農業従業者が5万人消える可能性があると予測した。整備士労働組合員3万3000人と循環休職中の非組合事務員約2万人を加えた数字だ。因みに、2008年のボーイング労働組合のストライキは58日間続いた。
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