
JPモルガンは、今年米国が景気後退に陥る確率が約40%に達すると予測した。さらに、トランプ大統領が4月から課すと宣言している相互関税が実際に発効された場合、景気後退のリスクは50%以上に跳ね上がる可能性があると指摘した。米国がより破壊的で企業に敵対的な政策を継続すると、景気後退のリスクが高まるということになる。
さらに、トランプ政権が米国への信頼を損なわせると、投資先としての米国の地位が永続的に傷つくリスクもあると明らかにした。
現地時間12日のロイターによると、JPモルガンのチーフ・グローバル・エコノミストであるブルース・カスマン氏は「現在、米国経済への懸念が高まっている」と述べた。同氏は公式予測の修正はまだ行っていないものの、景気見通しの景気後退リスクを40%に反映させたと明かした。これは年初の30%であった景気後退確率から上昇している。また、相互関税が実際に発効されれば、景気後退リスクは50%以上に達する可能性があると予測した。
JPモルガンはまた、今年の米国GDP成長率を2%と予想している。
今週に入り、米国株式市場は数カ月ぶりの大幅な下落を記録した。これはトランプ氏の関税政策により米国経済が後退するとの懸念が高まったためだ。
ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーのエコノミストらは先週、米国のGDP成長予測を下方修正し、今年の成長率をそれぞれ1.7%、1.5%と予想した。先週ロイターが米国、カナダ、メキシコのエコノミストを対象に実施した調査によると、95%がトランプ氏の関税により当該国の景気後退リスクが高まったと回答した。
カスマン氏はまた、トランプ政権の出方により米国市場と機関への信頼が揺らぐ場合、米国資産に対する投資家の信頼も同様に揺らぐだろうと指摘した。
同氏は、トランプ政権による政府機関の縮小、世界においての米国の役割の変化、データ収集諮問委員会の解散決定などにより、米国市場への信頼と期待が損なわれる可能性があると述べた。
「これらはすべて米国の政策に関する不確実性の一部であり、今年の見通しにはそのリスクが適切に反映されていなかった」と指摘。さらに「米国は極めて低コストでの資金調達が可能で、巨額の資本流入やドルと資産の魅力という大きな特権を享受している」と述べた。そうした優位性が圧迫され始め、市場で構造的な問題となるリスクは決して過小評価すべきではないと付け加えた。