米中関税戦争が再燃、トランプ大統領の追加関税発表と中国の報復措置、両国経済に及ぼす影響は?

ドナルド・トランプ米大統領が引き起こした関税戦争の余波が続く中、新たな一週間が始まった。今週注目すべき国際問題を見ていく。

① 米中関税戦争の行方は?

中国は北京時間10日0時(米国時間9日午前11時)から、トランプ大統領による対中10%の一律関税引き上げに対抗し、報復関税の適用を開始した。中国政府は、140億ドル(約2兆1,500億円)規模の米国産製品に10~15%の追加関税を課す。米国産原油・農機具および一部自動車には10%、石炭と液化天然ガス(LNG)には15%の関税がそれぞれ適用される。

これは米国が4日に中国産製品に10%の追加関税を課したことへの対抗措置とみられる。加えて、中国政府はGoogleに対する独占禁止法違反調査、戦略鉱物であるタングステンやテルルの輸出制限、ファッション企業PVHグループとバイオテクノロジー企業イルミナへの制裁など、多角的な対抗策を打ち出している。

一方、米国は更なる関税措置を発表。トランプ氏は10日(現地時間)、米国に輸入されるすべての鉄鋼とアルミニウム製品に25%の関税を課すと発表する意向を示した。9日(現地時間)、トランプ氏は米プロフットボール(NFL)決勝戦のスーパーボウルが開催されるニューオーリンズに向かうエアフォースワン機内で、記者団にこの計画を明かした。

トランプ氏は「米国に入ってくるあらゆる鉄鋼に25%の関税がかけられることになる」と述べ、アルミニウムについての質問には「アルミニウムも同様だ」と答え、鉄鋼だけでなくアルミ製品にも適用する考えを示した。ただし、発効時期には言及しておらず、「11日または12日に正式発表し、その後すぐに適用される」と述べるにとどめた。

②ウクライナ戦争終結の可能性は?

今月14日から16日まで、ドイツ・バイエルン州ミュンヘンで世界最大規模の安全保障会議「ミュンヘン安全保障会議」が開催される。この会議にはJD・ヴァンス米副大統領、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領、マルコ・ルビオ米国務長官、ピート・ヘグセス国防長官らが出席する予定だ。

ホワイトハウスは9日(現地時間)、トランプ氏が今週、「ロシア・ウクライナ戦争終結に向けた協議を行う」と発表した。前日には、トランプ氏がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談を行い、ロシア・ウクライナ戦争の終結について議論したとの報道もあった。

この会議では、ロシア・ウクライナ戦争終結に向けた青写真が示されるのではないかとの期待が高まっている。米国家安全保障担当のマイケル・ウォルツ補佐官は、この日のNBC放送とのインタビューで「今週、国務長官、国防長官、副大統領、欧州特使とともに、戦争終結の具体的な方法について話し合う」と述べ、「これは両国を交渉の場に引き出すことを意味する」と語った。

ニューヨーク・ポストが報じた「トランプ氏とプーチン氏の電話会談」については、「大統領に先立って発言することはできない」としつつも、「(ロシアとの間で)慎重な交渉が進められている」と答えた。

③ 米・EU経済指標発表

12日には、米国の消費者物価指数(CPI)が発表される。ロイター通信によると、1月のCPIは前月比0.3%上昇したと予想され、前月の数値(昨年12月・0.4%)よりも鈍化したとみられる。前年同月比では2.9%の上昇が見込まれている。

米国労働統計局が発表した1月の雇用統計で、雇用市場が堅調との見方が示される中、CPIが予想を上回る上昇率を記録すれば、インフレへの懸念がさらに高まる可能性がある。13日には1月の生産者物価指数(PPI)と週間新規失業保険申請件数が、14日には1月の小売売上高が発表される。

石油輸出国機構(OPEC)と国際エネルギー機関(IEA)の月次石油市場報告書はそれぞれ12日、13日に公表される予定だ。

欧州連合(EU)は14日に昨年第4四半期のGDP速報値を発表する。EU統計局であるユーロスタットが先月30日に発表した予備値によると、ユーロ圏の国内総生産(GDP)は前期比0%の成長率を記録した。これは前年第3四半期の成長率(0.4%)はもちろん、ロイター通信が調査した専門家予想(0.1%)をも下回った。

ユーロ圏経済を牽引する主要国ドイツとフランスがマイナス成長に転じたことが大きな要因だ。ドイツは-0.2%、フランスは-0.1%を記録した。特にドイツは年間経済成長率も-0.2%となり、2年連続でマイナス成長を示した。

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