
アマゾンが四半期売上で初めてウォルマートを上回り、米国企業全体で最大の売上を記録した。これにより、米国流通業界の勢力図が大きく変わる可能性が指摘されている。
20日(現地時間)、ウォルマートは2025会計年度第4四半期(2024年11月~2025年1月)の売上が前年同期比4%増の1,805億5,000万ドル(約26兆9,531億円)だったと発表した。これは、アマゾンが6日に公表した前四半期の売上1,877億9,000万ドル(約28兆399億円)を下回る。
アマゾンの売上は前年同期比10%増加し、四半期ベースで初めてウォルマートを超えた。
米国最大の小売業者ウォルマートは、2012年にエクソンモービルを抜いて以来、12年間にわたり米国企業の売上首位を維持してきた。アマゾンは2015年に時価総額でウォルマートを上回ったものの、売上では及ばなかった。
現在、アマゾンの時価総額は約2兆5,000億ドル(約373兆2,089億円)、ウォルマートは約8,200億ドル(約122兆4,125億円)となっている。
ウォール街では、アマゾンが年間売上でもウォルマートを上回るのは時間の問題とみている。金融情報会社ファクトセットは、アマゾンの今年の年間売上を7,008億ドル(約106兆円)、ウォルマートを7,087億ドル(約104兆6,179億円)と予測。昨年はアマゾンが6,380億ドル(約95兆2,429億円)、ウォルマートが6,810億ドル(約101兆6,621億円)を記録しており、両社の売上差は430億ドル(約6兆4,191億円)だった。今年はさらに縮まる見込みだ。
アマゾンが米国流通業界の最強者に躍り出た背景には、大規模な事業多角化がある。1994年にオンライン書店として創業した同社は、2010年代初頭には世界最大のeコマース企業に成長。さらに、2006年にクラウド部門「アマゾンウェブサービス(AWS)」を立ち上げ、B2Bクラウド市場でも支配的な地位を確立した。市場調査会社カナリスによると、昨年第3四半期時点でアマゾンのクラウド市場シェアは33%で、2位のマイクロソフト(20%)を大きく引き離している。
AWSはアマゾン全体の売上の約17%を占め、新型コロナウイルスのパンデミックによるオンライン市場拡大も追い風となった。アマゾンの北米地域のオンラインショッピング売上は、パンデミック直前の2019年と比較して100%以上増加している。
一方、12年ぶりに米国企業売上首位の座を明け渡したウォルマートは、前四半期の成長率が市場予想を下回り、ニューヨーク株式市場で株価が6%以上下落した。また、2026会計年度の純売上は3%~4%成長、調整後営業利益は3.5%~5.5%増加と予想したが、市場の期待には届かなかった。