
ドナルド・トランプ米大統領は、自身が創設した政府効率局(DOGE)への協力を改めて強調した。DOGEのトップを務めるテスラのCEOイーロン・マスク氏に再び後ろ盾を与える形となった。先週、米国際開発庁(USAID)や消費者金融保護局(CFPB)などを閉鎖し、連邦機関の大規模な再編に乗り出したマスク氏は、多くの反発を招いた。マスク氏はこれを受け、11日(現地時間)にホワイトハウスの執務室を訪れ、権限逸脱や違法行為の疑惑に対応した。
○トランプの前で官僚組織を痛烈に批判
この日、マスク氏はホワイトハウスの大統領執務室を訪れ、トランプ氏の行政命令署名式に同席した。黒い「MAGA(Make America Great Again)」帽子をかぶり、息子を肩車して登場し、「実力者」であることを印象づけた。その後、大統領と共に30分以上記者団との質疑応答に応じた。
マスク氏は、「DOGEの職員が政府機関の各所を調査し、コンピュータシステムや職員データを精査し、オフィスの閉鎖や職員の休職措置などを通じて政府の規模縮小を進めている」と述べた。さらに、「DOGEの行動はすべて透明性を持って公開されている」と強調した。これはDOGEに対する権限逸脱や違法行為の批判に反論したものだ。
組織再編の正当性を強調しつつ、マスク氏は「多くの面で官僚は、選挙で選ばれた国民の代表よりも大きな権力を持っている」と指摘した。彼は「もし政府と国民の間に相互作用がなく、官僚が統治するならば、我々は民主主義ではなく官僚主義社会に生きていることになる」と述べ、「国民は大統領と上下院議員を選出して何が起こるかを決定するが、これは選挙で選ばれていない官僚主義とは相反する」と主張した。
また、「組織再編を行わなければ、政府が財政赤字のために破綻する可能性がある」と警告し、「国の負債に対する利払い額が国防予算を上回っているのは驚くべきことで、連邦政府の支出削減は選択肢ではなく必須の課題」と強調した。
○マスク氏を擁護するトランプ氏
公務員組織に対するマスク氏の批判にトランプ氏も同調した。トランプ氏は、「もし透明性が欠如していたり、利益相反があれば、我々は彼にその仕事をさせなかっただろう」と述べ、マスク氏を擁護した。米誌タイムが24日号の表紙にマスク氏の写真を掲載し、マスク氏とトランプ氏の間に亀裂が生じる可能性があるとの見方が出ていたが、この日トランプ氏はマスク氏への信頼を示した。
ブルームバーグ通信によると、トランプ氏はこの日、ホワイトハウス予算管理局(OMB)長官に対し、DOGEと協力して連邦政府の人員規模を縮小する計画を提出するよう行政命令で指示した。この計画には、各政府機関で職員4人が退職するごとに1人だけを採用するという方針が含まれている。ただし、公共安全、移民取締り、法執行に関連する職務は除外された。ブルームバーグは、「ホワイトハウス内の一部門にすぎないDOGEが、大規模な人員整理を実施する権限があるかどうかは不明確だ」と指摘した。
マスク氏が経営する企業群がトランプ政権下で利益を得ているとの指摘が続いている。この日、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、「トランプ氏の就任からわずか1カ月足らずだが、マスク氏の巨大な事業帝国はすでに恩恵を受けているか、受ける可能性のある極めて有利な立場に置かれている」と報じた。

政府の規模縮小の過程で解雇された官僚の中には、マスクの企業を対象に調査、法執行、訴訟などを進めていた人物が含まれているという。NYTによると、スペースX、テスラなどマスク氏の6社に対して32件以上の調査を行っていた少なくとも11の連邦機関が、トランプ政権の政府再編の影響を受けていることが明らかになった。