インド株式市場は力強い成長を遂げている。国内投資家の活発な参加と新たな投資文化の形成がその背景にある。過去10年間で株式投資はインドの家計資産形成において重要な位置を占めるようになった。
○個人投資家の台頭…不動産から株式へのシフト
23日、ブルームバーグはインド国内で広がる「株式文化」がインド経済の構造を変えつつあると報じた。かつてインドの家計は銀行預金と不動産に依存していたが、現在では株式が新たな富の創出手段として受け入れられている。モルガン・スタンレーによると、過去10年でインドの個人投資家の株式保有比率は8ポイント増加し、23.4%に達したとのことだ。また、インド証券取引委員会のデータでは、今年3月時点で家計の株式投資規模が前年比57%増加している。
この潮流には技術革新と制度改革が寄与しているとの分析がある。2018年、インド政府は年金制度の株式投資上限を引き上げ、税負担を軽減する政策を実施。さらに、スマートフォンとリアルタイム決済システムの普及により投資へのアクセスが向上した。金融商品取引プラットフォーム「ゼロダ(Zerodha)」の登場で、手数料無料の取引環境も整備された。
エンジニアのサンカル・ラム氏(33歳)は「両親は銀行預金と不動産を好んでいたが、私は給料の大半を株式に投資している」と述べ、「長期投資のためにウォーレン・バフェットの投資哲学を学んでいる」と語った。
個人投資家の力は世界的な市場の動揺も緩和した。今年8月、世界の株式市場が人工知能(AI)関連株の評価に対する懸念で、世界市場が調整局面を迎えた際も、インドのNIFTY50指数はインドの投資家の買い支えにより比較的安定を保った。NIFTY500指数は過去3年間で56%上昇し、アメリカのS&P500指数を大きく上回る伸びを示した。
○警戒信号も点灯するが 「持続的成長が見込まれる」
新規株式公開(IPO)市場も過熱している。新規上場企業の中には公募価格の400倍もの応募倍率を記録するケースがあり、上場初日の平均株価上昇率は25%と、アメリカ(12%)を大きく上回っている。
ただし、急激な株式ブームには警戒信号も伴う。インド上位500社の株価収益率(PER)の中央値は約44倍と、過去10年平均の27倍を大幅に上回っている。全上場企業の時価総額が国内総生産(GDP)に占める割合も、世界金融危機当時の水準に近づいている。専門家らは下落相場は避けられないとし、慎重な投資姿勢が必要だと口を揃える。
それでも、インドの株式文化は今後も成長を続けると予想されている。モルガン・スタンレーは「若年人口と低い投資普及率を考慮すると、インドの株式ラリーはアメリカの90年代のブームを上回る可能性がある」と予測している。
インドの株式ルネサンスは一時的な現象ではなく、構造的変化の結果であり、世界経済に大きな影響を与えると見られている。アディティヤ・ビルラ・サンライフ・アセット・マネジメントのCEOであるバラスブラマニアン氏は、「かつては外国資金がいつ売却に転じるかを懸念していたが、今では外国人投資家が国内資金の動向を注視している」と述べた。
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